2021年06月15日

36.前腕屈筋群の役割。

テクニックのお話です。

倍音をコントロールする技術。

タッチに関する現時点での私見ですが、前腕の屈筋群をいかに使うかにかかっているように思います。
浅指屈筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋……具体的にどの筋肉がどれくらいの割合で働いているのかは正確には分かりませんが、前腕の内側、特に肘に近い部分を触りながら響きを確かめると、屈筋群がしっかり働いている状態と緩んでしまっているそれとでは、楽器の響き方が明らかに変わります。
日本で一般に言われている脱力は、恐らく結果的に前腕を”虚脱(あるいはそれに近い)状態にしようとしてしまっている”場合が多いのではないでしょうか。前腕から意図的に力を抜いて(抜こうとして)しまっては、そもそも指を効率よく動かす事すら不可能なはずです。

以前整形外科の医師の方に伺いました。「指を動かす筋肉はほとんど前腕の中にあり、更に指先の細やかな動きになると虫様筋の働きが重要になるんですよ。」

ピアノと言う楽器を倍音豊かな、歌う響きで奏でるためには、前腕の使い方を考える事が重要になると思います。いわゆる“指先を回す”発想を捨て、前腕の屈筋群を意識して指を動かす事で、得られる響きが変わっていくはずです。



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posted by tetsumichi at 07:00| 演奏技術について