「たとえ周りの人たち皆に『あなたには才能がないから音楽はやめなさい』と言われようとも、音楽の道に進むという自分の気持ちを貫き通す。それくらいの意志がなければ、プロにはなれません」 ── もう随分昔の事になりますが、ある世界的ヴァイオリニストの方が、インタビューでこの様な発言をされていたのを読んだ記憶があります。
プロを目指すならば。
音楽に対して真剣にならなければならない。
音楽の道を気楽に考えてはいけない。
音楽に命をかけなければならない。
才能とは忍耐だ、と言ったピアニストがいますが、優れた音楽家になるには精神、技術両面においていかに忍耐強く、長い、長い時間をかけて自分自身を磨いていけるか、それにかかっていると言っても過言ではありません。
もしも、他人の評価次第で自分の意志が揺らぐならば。
自己鍛錬の過程で、妥協してしまうならば。
その人には、いずれ限界が訪れるでしょう。
自己鍛錬 ── 自分を見つめる事は、大変な辛さをも伴います。
ですが、尽きることのない向上心があれば、その辛さは克服できるはずです。良い音楽家になりたいと心の底から渇望しているならば、どんな嵐が来ようと、じっと石の上に座り続ける事は喜び以外の何物でもないはずですから。
そして、私は思うのです。
それこそが音楽を愛する事なのだと。
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