飲もうと思い、コップ2杯だけの水を飲み干す── それが科学である。》
ロシアの作家アントン・チェーホフ(1860〜1904)のこの言葉を、私はモスクワ留学時代にロシア語の先生から教えていただいた。
音楽を生業としている私にとって、このチェーホフの格言は大切な指針になっている。
心で動くのか、知性で動くのか。
是非の問題では、勿論ない。
ただ、理論的思考が時に感覚の妨げになる事、思考が優先した演奏はどこか人工的な印象を与える事を、私は身を持って経験してきた。
「心で仕事をしなさい」
「感情で音楽を理解しなさい」
10代の頃、ゴルノスターエヴァ先生にそう言われた事がある。
心で書かれた音楽は、心でもってのみ理解し得るのだ。
【音楽についての最新記事】