2018年08月25日

15.耳慣らし。

耳慣らし、という言葉が正確な日本語なのかどうかは分からないが、私にとって、普段の練習や演奏会のリハーサルを始める前の〈耳慣らしの時間〉は、ちょっとした儀式のようなものだ。

ピアノの前に座る。
だが、いきなり沢山の音や曲を弾くような事は決してしない。
ペダルを踏み、好きな音を一音、ポーンと響かせる。
弱音ならばなお良い。
そして、その響きの行方にじっと耳を傾ける……。

響きがただ衰退していくのではなく、あたかも自分から遠ざかっていくように感じられるならば、耳の準備が整ったと言えるだろう。
何の?
音が生じた後の響きの変化を聴く、つまり倍音を聴く耳の態勢である。
(前回の記事で書いたように、多彩な音色は倍音の変化である)

もう何年も前の事になるが、演奏会前のリハーサルを終えた後に、「最初、まるで調律をしているみたいでしたね」と言われた事がある(笑)。

響きの行方を聴く。
あなたは、聴く準備が整う前に弾いてしまってはいないだろうか?


20180825.JPG


【演奏技術についての最新記事】
posted by tetsumichi at 07:00| 演奏技術について