2020年09月11日

33.私の母。

先々月、7月末に、母が75歳で亡くなりました。

このブログでは、これまで音楽以外のプライヴェートにまつわる話題は書いてきていませんが、私のこれまでの音楽人生は母の存在なしでは考えられず、少しだけ、母の事を綴りたいと思います。


母は看護師として働いていましたが、1978年11月に私が生まれた後数年間、仕事を離れていました。
母に音楽を専門的に勉強した経験は全くありませんが、この離職していた数年間は私のピアノの練習に付きっきりで、それは厳しく、度々喧嘩をしていた記憶があります。母は若い頃から、自分の意志と行動で人生を切り開いてきた人でした。だから、中途半端な事は許せなかったのでしょう。

そんな子供時代を過ごしながらも、私は根っからの母親っ子でした。

東京の音楽大学に進学した時。
私が東京に引っ越して間も無く、入学式に出る為に母が上京してくれました。一人暮らしを始めたマンションで、母が作ってくれたポテトサラダをたらふく食べた事。
母が愛知に帰る日、記憶違いでなければ……新宿駅で中央線に乗り換え、東京駅まで見送りに行きました。東京駅構内の売店で母が、「家で食べなさい」と芋羊羹を買ってくれた事。新幹線の改札を通り抜け遠くなっていく母の姿を見ながら心細くなった感情を、おぼろげながら覚えています。

モスクワに留学していた間も、夏休みで帰国して練習をしていると、部屋の引き戸を開け口出しをしてくる事がしばしば。全く見当外れの意見ならば私も聞き流せたのですが、これがまた妙に的を射ていたりするものですから癪に触り、口答えをしてしまったものです。

元気だった頃の母は、私の帰国後、名古屋及び近郊での演奏会や講座には毎回足を運んでくれました。
演奏会前で実家にいる時には、必ず、母に演奏を聴いてもらいました。
ただし、「ただ聴いてくれるだけでいいからね。余計な事は言わないで。」と一言釘を打って。

私にとって一番の理解者だった母。

私は、来世で「精一杯仕事をしてきました」と胸を張って母に会えるよう、今後の人生を真摯に歩んで行きたいと思っています。


生んでくれてありがとう。
育ててくれてありがとう。
僕に、音楽の道を開いてくれてありがとう。

母に、心から感謝します。


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2020年09月03日

【終了御礼】炎のベートーヴェン。

8月16日(日)、名古屋は宗次ホールにて、今年で8回目となる黒岩悠さんとのデュオコンサート(ソロ&2台ピアノ)を開催致しました。

宗次ホールはコロナウィルス感染防止対策の一環として入場者数を310席の約半分、150席に限定して公演を行ってくださっていますが、当日は130名程のお客様がご来場下さり、ただただ、感謝の想いで演奏させていただきました。

私は、クラシック音楽が何か特別な力を持っているとは思っていません。
ですが、人がそこに何かを求めるならば、その時、音楽は私たちの心と生活を満たし、良い未来へと向かわんとする原動力になると信じています。
苦悩を通り歓喜へ。
ベートーヴェンはまさに、生涯を音楽に捧げそれを成し遂げた人物でした。

宗次ホールのスタッフの皆様、そしてご来場下さった皆様に、重ねまして心より御礼申し上げます。
どうぞ、明日が良い日でありますように。
吉永哲道



ベートーヴェン生誕250周年
黒岩悠×吉永哲道
悲愴!熱情!運命!!
炎のベートーヴェン


〈出演〉
黒岩悠(ピアノ)
吉永哲道(ピアノ)

〈プログラム〉
[吉永ソロ]
ピアノソナタ第8番ハ短調 op.13「悲愴」
[黒岩ソロ]
ピアノソナタ第23番 op.57「熱情」
[2台ピアノ]
交響曲第5番 op.67「運命」
*ウルリッヒ編曲の連弾版を2台ピアノで演奏。

〈アンコール〉
J.S.バッハ=M.ヘス:
主よ、人の望みの喜びよ



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