2021年04月25日

【演奏音源】2016年4月26日の演奏会より。

【ヴェラ・ゴルノスタエヴァ先生の想い出に 日本の門下生によるコンサート】より

J.S.バッハ=F.ブゾーニ:
コラール前奏曲"来たれ、異教徒の救い主よ"BWV659
F.リスト:
2つの伝説より"波を渡るパオラの聖フランチェスコ"

吉永哲道(ピアノ)
Tetsumichi YOSHINAGA, piano

2016年4月26日、ヤマハホールでの収録


《演奏会当日のプログラムノートより》

「堂々と!この作品を弾く時、貴方はパオラの聖フランチェスコと共に波の上を歩んで行くのだから。」

2015年1月19日、私が11歳の時にヤマハマスタークラスでお会いして以来、モスクワ音楽院修了まで実に18年に渡り薫陶を受けたヴェーラ・ゴルノスターエヴァ先生が亡くなられました。冒頭の言葉は留学時代、リストの《二つの伝説》のレッスンで先生がおっしゃられた事なのですが、その時の先生の誇らしげな表情とともに今も私の記憶の引き出しに大切にしまわれています。

先生はまさにロシア語で言うところのкультурный человек(教養の高い文化人)であり、レッスンでは作曲家についての独自の見解や、また文学や絵画等を引き合いに音楽作品について語って下さる事が少なくありませんでした(10代の子供に対してもです!)。例えば、J.S.バッハの作品では常に宗教について触れられ、その様な体験の積み重ねが、私の中に音楽が何か真剣で深遠なものであるという思考を形成していった事は疑う余地がありません。
そして響きの重要性。
「音が響いていない」、「貴方の音には本物の声がない!」── 18年の間、いったい幾度そうご指摘下さった事でしょうか。勿論、人の琴線に触れる美しい響きの追究に終わりはありませんが、今の私の音が少しでも先生の御心にかなうものであるならば、私はただそれだけで幸せです。
そして先生の事を思い起こす度に…今更ながら思うのです。
芸術家として確固たる信念をお持ちになり音楽に生涯を捧げられたヴェーラ先生の生き方こそ、
Maestoso(堂々と)そのもではなかったかと。

感謝と、追悼の祈りを込めて演奏致します。
吉永哲道


posted by tetsumichi at 07:00| 演奏音源

2021年04月15日

35.最も美しい旋律。

「この世で最も美しい旋律は音階。」

モーツァルトやチャイコフスキーの音楽を思い浮かべると、私はこの言葉に深く頷かずにはいら
れません。

音階を無味乾燥に弾いてしまう人がいます。
まるで音階は音楽ではなく、指の訓練だとでも言わんばかりに。
ですが、考えてみて下さい。
音階を音楽的に弾けずして、例えば、いったいどうやって古典派の作品を演奏できるのでしょう
か?

音階の美しさに気づく事。
非常に意味のある事だと思いませんか?


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2021年04月05日

【終了報告】ムソルグスキーの音楽。

渡部智也氏の第7回バスリサイタル、2公演(3月26日、31日)が無事終了しました。

後半に取り上げられたムソルグスキーの「死の歌と踊り」は、作曲家の強烈な個性が顕著に現れ
た、歌曲集と言えども各曲がオペラのアリアの様に一つの場面を描く劇的な作品です。

作品の根底を成す概念は、“理不尽な死”。

子守歌……「幼子の死」
病気による死……「セレナーデ」
貧困による死……「トレパーク」
司令官……「戦争による死」

人間として生を受けた以上目を背けることのできない、突然の、理不尽な死。
ムソルグスキーは、私たちにその事実を容赦なく突き付け、鋭く問うのです。

“これが人間の運命だ。”
“お前がその事実に直面したならば、どうする?”

民衆の中に身を置き、恐らくその死をも自らのものとして追体験せんとしたムソルグスキーの生き
様が、この傑作を創作せしめたのでしょう。避けられない死を前に人はどう生きるのか。それは
現代社会においても、私たちがそれぞれに、深く思いを至らせる問題ではないでしょうか。

ご来場、ご高評いただきました皆さまに、深く感謝申し上げます。
どうぞ明日が良い日でありますように。
吉永哲道


第7回 渡部智也 バス・リサイタル
〜ダルゴムィシスキーからムソルグスキーへ〜

〈公演日程〉
2021年3月26日(金) カンマーザール in 立川
2021年3月31日(水) 紀尾井町サロンホール

〈出演〉
渡部智也(バス)
吉永哲道(ピアノ)

〈プログラム〉
A.ダルゴムィシスキー:
夜のそよ風
物憂くて悲しい
虫けら
結婚*
若者と乙女
九等官
庭園
ボレロ

M.ムソルグスキー:
歌曲集「死の歌と踊り」全曲
子守歌
セレナード
トレパーク
司令官

*は紀尾井町サロンホール公演のみ

〈アンコール〉
A.ダルゴムィシスキー:
私は貴女を愛した


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posted by tetsumichi at 09:00| その他

2021年03月27日

【終了御礼】ロシアピアニズムの響き。

少し日が経ってしまいましたが、去る3月13日、愛知県は春日井市のホール、Fantasie-Impromptuでのリサイタルが盛況の内に終了致しました。終演後の懇親会では、ご来場いただいた皆様から多くのご好評をいただき、改めましてこの場で御礼を申し上げます。

このブログでもこれまで度々書かせていただいていますが、私が初めてロシアのピアノ流派の響きを生で体験したのは、11歳の春、ヴェーラ・ゴルノスターエヴァ先生との出会いによってでした。

それから18年ヴェーラ先生の下で学び、30歳でモスクワから帰国するもまだ自分の音(音楽)に納得できず東京の大野眞嗣先生の門を叩き……11歳から今日までひたすらに、「自分自身の響き」を追い求めて試行錯誤を続けてきています。

響きが磨かれてくる程に、作品の奥深い世界、そこに存在する作曲家の魂が感じられるようになり、その喜びをお聴き下さる方々と共有したい。
私が響きにこだわらずにいられない理由は、ただそれだけです。

『響きの文化』とも言えるこの唯一無二のピアニズムを、私自身の中に根付かせ継承する努力を怠らず、演奏、指導の両分野を通して多くの方にこれからも「本物の音楽」をお伝えしていきたいと思っています。
末筆となりますが、いつもピアノを最良のコンディションに調整して下さる調律師の更家雅之氏、また細やかなご配慮で温かくお迎え下さるホールオーナーの林様に、心からの感謝を申し上げます。

どうぞ明日が良い日でありますように。
吉永哲道


─ ロシアピアニズムの真髄を弾く ─
𠮷永哲道 ピアノリサイタル

〈出演〉
吉永哲道(ピアノ)

〈プログラム〉
J.ブラームス:
インテルメッツォ 変ホ長調 op.117-1
インテルメッツォ イ長調 op.118-2
L.v.ベートーヴェン:
ピアノソナタ第17番 op.31-2「テンペスト」
M.グリンカ:
ノクターン「別れ」
M.ムソルグスキー:
展覧会の絵

〈アンコール〉
P.チャイコフスキー:
「四季」op.37bより 3月“ひばりの歌”
F.シューベルト:
ワルツ 嬰ハ短調 D.145, op.18-4
ワルツ 嬰ハ短調 D.365, op.9-27
ワルツ ロ短調 D.145, op.18-6
J.S.バッハ=M.ヘス:
「主よ、人の望みの喜びよ」(カンタータBWV147 より)


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2021年03月25日

【演奏音源】2017年7月6日のリサイタルより。

【吉永哲道ピアノリサイタル
R.シューマンの世界 〜Vol.1 詩人の憧憬〜】

今回の演奏動画は、2017年にリサイタルで演奏しましたシューマンの子供の情景です。

この曲集の終曲には「詩人は語る」のタイトルが与えられていますが、「詩人」はシューマ
ン自身であるとも言われています。

寝入ってゆく子供に、シューマンは何を語るのでしょうか。
彼自身の過去を重ね合わせるのか、それとも、子供の未来に想いを巡らせながら幸せを
願うのか……。
私の演奏が、その「何」を表出、お伝えできるものであるならば嬉しく思います。
どうぞお聴き下さい。

吉永哲道


R.シューマン:
子供の情景 op.15

見知らぬ国と人々について
不思議なお話
鬼ごっこ
おねだり
十分に幸せ
重大な出来事
トロイメライ
暖炉のそばで
木馬の騎士
ほとんど真面目すぎるくらい
おどかし
眠りに入る子供
詩人は語る


吉永哲道(ピアノ)
Tetsumichi YOSHINAGA, piano

2017年7月6日、カンマーザール in 立川での収録

*各曲ごとの頭出しの時間は、YouTubeの概要欄をご覧下さい。



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